役員報酬をいくらにするか — 期首 3 か月ルールと社会保険料の効き方
一度決めたら期中は変えられません。法人税・所得税・社会保険料の 3 つが同時に動くので、トータルで見た最適点を探す必要があります。
定期同額給与のルール
役員報酬を損金(法人の経費)にするには、原則として次の条件を満たす必要があります。
- 事業年度開始の日から 3 か月以内に改定する
- その事業年度中は毎月同じ額を支給する
期の途中で増額すると、増額分は損金になりません。減額も、業績の著しい悪化など限られた事由がないと否認されます。創業初年度は、設立日から 3 か月以内に決めることになります。売上がまだ 1 円も立っていない段階で 1 年分の報酬を決める、という難しい作業です。
3 つの税・保険が同時に動く
役員報酬を上げると、次が同時に起こります。
- 法人の利益が減る → 法人税等が減る
- 個人の所得が増える → 所得税・住民税が増える(累進課税)
- 標準報酬月額が上がる → 社会保険料が増える(会社負担と個人負担の両方)
社会保険料はおおむね報酬の 30% 前後(労使合計)で、法人税率より高い水準です。そのため「法人税を減らすために役員報酬を上げる」が、社会保険料の増加でかえって総支出を増やすことがあります。法人税・所得税・社会保険料の 3 つを合算した額で比較しないと判断を誤ります。
創業 1 期目の考え方
1 期目は売上が読めないので、低めに設定して会社に利益を残すのが無難です。理由は 3 つあります。
- 役員報酬を払いすぎて会社が赤字になっても、個人の所得税と社会保険料は発生し続けます
- 報酬が低ければ、会社に現金が残り、資金繰りに余裕ができます
- 2 期目の期首に、1 期目の実績を見て適正額に改定できます
ただし、生活費が賄えない水準にすると、会社からの借入れ(役員貸付金)が膨らみます。役員貸付金は決算書に残り、金融機関の融資審査で強くマイナスに働きます。生活に必要な額は確保してください。
役員賞与を使いたい場合
どうしても期中に利益連動で支払いたい場合は、事前確定届出給与という制度があります。支給時期と金額を事前に税務署へ届け出て、そのとおりに支払えば損金になります。ただし1 円でも、1 日でもずれると全額が損金不算入になる厳しい制度です。使うなら税理士と相談のうえで運用してください。
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