解雇は極めて難しい
労働契約法により、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は無効です。
「能力が低い」「協調性がない」といった抽象的な理由では、まず認められません。無効と判断されると、解雇時に遡って賃金を支払う義務が生じます(バックペイ)。
3つの種類
- 普通解雇 … 能力不足、勤務成績不良、傷病など
- 懲戒解雇 … 重大な規律違反。就業規則に事由と種類の定めがなければできません
- 整理解雇 … 経営上の理由。後述の4要素で厳格に判断されます
整理解雇の4要素
- 人員削減の必要性
- 解雇回避努力 … 役員報酬の削減、経費削減、配置転換、希望退職の募集などを尽くしたか
- 人選の合理性 … 客観的・合理的な基準で選んだか
- 手続きの妥当性 … 労働者への説明、協議を行ったか
業績が悪いというだけでは足りません。
手続き上の要件
- 30日前の予告、または30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払い
- 日数と手当の組み合わせも可(20日前予告+10日分の手当など)
- 解雇理由証明書 … 請求があれば交付義務
解雇できない期間
- 業務上の傷病による療養期間中と、その後30日間
- 産前産後の休業期間中と、その後30日間
- 育児・介護休業の申出や取得を理由とする解雇
- 労働基準監督署への申告を理由とする解雇
- 性別、婚姻、妊娠・出産を理由とする解雇
解雇の前にやるべきこと
問題行動や能力不足を理由にする場合、いきなり解雇すると無効になります。
- 具体的な指摘と改善指導 … 口頭だけでなく書面で残す
- 改善の機会を与える … 期間を定めて
- 配置転換の検討 … 他の業務で活かせないか
- それでも改善しない場合の記録の積み重ね
- 段階的な懲戒(就業規則の定めに従って)
記録がなければ、後から「指導していた」と主張しても認められません。
試用期間中でも同じ
試用期間中の解約も解雇に当たります。通常の解雇より広い範囲で認められる余地はありますが、自由に辞めさせられるわけではありません。14日を超えて使用した場合は解雇予告も必要です。
退職勧奨という選択肢
解雇ではなく、本人と話し合って合意のうえ退職してもらう方法です。
- 合意退職なので、解雇の制約を受けません
- 退職条件(退職金の上乗せ、有給の消化、離職理由)を交渉します
- 強要すると違法 … 執拗な面談、退職を強いる言動は不法行為になり得ます
- 合意内容は必ず書面で
必ず専門家に相談する
解雇は紛争に直結します。実行する前に、社会保険労務士または弁護士に相談してください。無効と判断されたときの経済的負担は、相談料とは比較になりません。
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