資本金はいくらにするか — 1,000 万円の壁と許認可の下限
1 円でも設立できますが、実務では 3 つの制約から逆算して決めます。消費税・許認可・信用、それぞれの境界線を具体的な金額で示します。
上限側の制約 — 1,000 万円で消費税が変わる
資本金 1,000 万円未満で設立した法人は、原則として設立 1 期目と 2 期目の消費税が免税になります。1,000 万円以上にすると、1 期目から課税事業者です。999 万円と 1,000 万円で、初年度の納税額が数十万円〜百万円単位で変わることがあります。特別な理由がなければ 1,000 万円は超えないのが定石です。
なお、免税期間は自動で 2 期分もらえるわけではありません。1 期目の前半 6 か月(特定期間)の課税売上高と給与等支払額がいずれも 1,000 万円を超えると、2 期目から課税事業者になります。また、インボイス発行事業者として登録した場合は、免税期間中でも課税事業者になります。
下限側の制約 — 許認可の要件
業種によっては、資本金(または純資産)の下限が法令で決まっています。
- 建設業許可(一般) … 自己資本 500 万円以上
- 労働者派遣事業 … 資産要件として基準資産額 2,000 万円以上(1 事業所あたり)
- 有料職業紹介事業 … 基準資産額 500 万円以上(1 事業所あたり)
- 旅行業 … 登録種別により基準資産額が異なる
これらの事業を予定しているなら、設立時点で要件を満たしておくほうが、後から増資するより手間もコストもかかりません。増資には登録免許税(増加資本金額 × 0.7%、最低 3 万円)がかかります。
実務上の下限 — 信用の問題
資本金 1 円でも会社は作れます。ただし登記事項なので、誰でも見られます。実務では次の場面で効きます。
- 法人口座の開設 … 資本金が極端に少ないと、実体のない法人を疑われて審査が通りにくくなります
- 創業融資 … 資本金は自己資金の証明として見られます。日本政策金融公庫の創業融資では自己資金の額が審査の中心です
- 取引先の与信 … 大手企業の新規取引審査で、資本金が足切りラインに使われることがあります
現実的な決め方
「創業から 3〜6 か月分の運転資金」を目安に置き、そこに許認可の下限と 1,000 万円の上限を重ねて調整します。多くの創業期の会社では 100 万円〜500 万円のレンジに落ち着きます。なお、資本金として払い込んだお金は使ってはいけないものではありません。設立後は会社の運転資金として普通に使えます。
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