広告を出す前に決める「1 件いくらまで払えるか」
許容 CPA を決めずに出稿すると、成果の判断ができません。顧客生涯価値から逆算する計算手順を、具体的な数字で示します。
許容 CPA とは
CPA(Cost Per Acquisition)は、1 件の獲得にかかった広告費です。「1 件の問い合わせを取るのにいくらかかったか」「1 人の顧客を獲得するのにいくらかかったか」を表します。
広告で最初に決めるのは、クリエイティブでも媒体でもなく、1 件あたりいくらまでなら払ってよいかです。これが決まっていないと、CPA 8,000 円という結果が出ても、それが良いのか悪いのか判断できません。
逆算の手順
例として、月額 3 万円のサービスを考えます。
- 顧客 1 人あたりの平均継続期間 … 24 か月とする
- 顧客生涯売上(LTV) … 3 万円 × 24 か月 = 72 万円
- 粗利率 … 60% とすると、生涯粗利 = 43.2 万円
- この粗利のうち、獲得コストに充てる割合 … 3 分の 1 とすると、許容 CPA = 約 14.4 万円
次に、問い合わせから成約までの率を掛けます。問い合わせの 20% が成約するなら、問い合わせ 1 件あたりの許容 CPA = 14.4 万円 × 20% = 約 2.9 万円。この数字をもって出稿します。
創業期は保守的に置く
上の計算には、継続期間・粗利率・成約率という 3 つの仮定が入っています。創業期はどれも実績がなく、推定値です。推定が楽観的だと、許容 CPA が過大になり、赤字の出稿を「合格」と判定してしまいます。
対策は 2 つです。①継続期間を短めに、成約率を低めに置く。②回収期間の上限を決める(例:広告費は 6 か月以内に粗利で回収できる範囲に抑える)。特に②は資金繰りの観点で重要です。LTV 基準で許容 CPA を大きく取ると、理論上は黒字でも、回収までの間に現金が尽きます。
出稿後に見る数字
- CPA … 許容ラインを超えていないか
- コンバージョン数 … 母数が少ないうちは CPA の振れが大きいので、件数も見ます
- 問い合わせの質 … 件数が増えても、成約しない問い合わせばかりなら意味がありません。成約に至った経路まで追ってください
計測ができていない出稿はしない
どの広告から問い合わせが来たのかを記録できていなければ、CPA は計算できません。最低限、次を用意してから出稿します。
- 問い合わせフォームの送信完了をコンバージョンとして計測できる状態
- 電話が主な導線なら、広告専用の電話番号または「何を見てお電話いただきましたか」のヒアリング
- 広告媒体ごとの流入を区別できる仕組み(URL パラメータなど)
計測の準備に 1 週間かけてから出稿するほうが、準備なしで 1 か月出すより確実に安く済みます。
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